アレクサンダーテクニーク

演奏に「脱力」は必要か? | No:1463 | アレクサンダーテクニーク東京・音楽家のためのレッスン-川浪裕史


こんにちは、川浪です。

「脱力しましょう」

音楽家なら、誰でも言われたことがある、この言葉。

僕のレッスンにも「うまく脱力できないんです」という悩みをお持ちの方が、たくさんいらっしゃいます。

しかし、僕はレッスンで「脱力」という言葉を使うことは、ありません。

というわけで、今回は「脱力」について考えてみたいと思います。

・脱力というが、力は必要

まず、最初に考えてほしいことは、脱力という言葉に、どんなイメージをもっているか、ということです。

おそらく、ぶらんぶらん、あるいは、だるんだるん、というイメージですよね。

これが、演奏に適した状態かと言われると、本当にそうなのか疑問に思いませんか?

脱力を、文字通り理解すると、「力がぬけている」ということです。

完全に力がぬけていたら、それは身体のコントロールを失っている状態です。

その状態で、音楽の演奏という、複雑な動作をこなすことができるわけありません。

実際のところ、演奏するためには、指や腕を動かしたり、息を吐いたり、といった動作が必要です。

これらはすべて、筋肉による活動です。

つまり、演奏するためには力を使う必要があります。

完全に力がぬけている状態では、演奏どころか、あらゆる活動を行うことができません。

当たり前のようですが、まずはこのことをしっかり確認しておいてください。

脱力していたら、演奏することはできません。

・なぜ「脱力しましょう」と言われるのか

では、なぜみんな「脱力しましょう」というのでしょうか。

さきほど、演奏には筋肉活動が必要、という話をしました。

どのような動きが必要かは、楽器によってことなります。

ピアノであれば、指で鍵盤を押す必要があります。

管楽器であれば、息を吐くことや、アンブシュアのコントロール、キーの操作、など。

弦楽器であれば、左手で弦を押さえて、右手で弦を弾くか、弓を動かす必要がありますよね。

それと同時に、実際に演奏しているときには、それ以外の不必要な動作もたくさんしています。

つまり、脱力の真意とは、演奏に必要のない力は手放しましょう、ということです。

ところが「じゃあ、必要のない力を手放そう!」と思っても、なかなかうまくいきません。

いったい、なぜうまく手放すことができないのか。

その理由を考える前に、そもそもなぜ不必要なことをしているのか、ということを考えてみましょう。

・なぜ不必要なことをしてしまうのか

その答えを、一言でいうと、それが必要だと思っているからです。

もう少し詳しく説明します。

演奏するときに、身体には次のようなことが起こっています。

①演奏しようと思う

②そのために必要な指令を、脳から身体に送る

③その結果、身体が動く

つまり、結果的には、不必要であっても、自分の頭の中では、必要なこととしてプログラムされているわけです。

さて、ここで不必要なことをやめようとすると、何が起こるでしょうか。

この不必要なことは、頭の中では演奏に必要なこととして認識しています。

それをやめるということは、すなわち演奏できない、ということになります。

こうして、脱力しようと思っても、うまくいかない、という悪循環におちいってしまうのです。

・不必要なことを手放すプロセス

では、いったい演奏を改善するためには、どのようなプロセスをたどればよいでしょうか。

まずは、演奏するにあたって、何か不必要なことをしていないか、観察してください。

じっくり観察すれば「ここに力がはいっているなぁ」ということに気づけるでしょう。

それが不必要だった場合に、それをやめようとしても、うまくいかないのは、先ほど説明したとおりです。

そうではなく、本当に必要なことは何なのか、を明確にすることが重要です。

先ほどの

①演奏しようと思う

②そのために必要な指令を、脳から身体に送る

③その結果、身体が動く

の②を、修正する必要があるということです。

そうすることで、不必要なことを手放せるようになります。

この考え方は、これまで数多くの音楽家にレッスンをしてきて、効果実証済みです。

「脱力」と言われた時に、単に力をぬこう、と考えるのではなく、何が不必要で、何が必要かを明確にする、ということを意識してみてください。

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