アレクサンダーテクニーク

どうして演奏時に体を固めてしまうのか


こんにちは、川浪です。

アレクサンダーテクニークのレッスンを受ける方に、共通する悩みは、演奏時に体を固めてしまうことです。

体を固めてしまうのは、その人が身につけたの癖です。

癖はどのようにして身につくのでしょうか。

今回は、一つの理由を説明したいと思います。

・体を固めるのにも意味がある

体を固めることは、悪いことばかりではありません。

実は、利点もあります。

それは「体の操作が簡単になる」ということです。

例えば、針の穴に糸を通す場面を想像してください。

手を浮かして、空中で操作するのと、テーブルに肘をついて固定した状態でするのでは、どちらがやりやすいでしょうか?

固定した状態の方が、簡単に感じると思います。

人間の体にはたくさんの関節があります。

それら全てを固めずに自由に動ける状態だと、正確に作業することは難しいのです。

体の一部を、テーブルに固定したり、筋肉で固定することは、体の操作を簡単にする作用があります。

・演奏の正確さを優先させると

演奏技術をどのようにして学んできたのか、思い出してください。

一般的な演奏指導では、譜面通りに正しい音、正しいリズム、を出すことを最初から優先させます。

演奏技術というのは、訓練が必要とされるとても高度な技術です。

いきなり正確な音を出そうとするのは、困難です。

にも関わらず、正確に演奏することを優先するとどうなるか。

少しでも、体の操作をしやすくするために、体を固めようとします。

先ほど説明したとおり、体を固めることで、自由に動ける箇所が少なくなるので、操作自体は簡単になります。

つまり、正確な演奏を優先させることが、体を固める原因の一つとなっているのです。

・赤ん坊はどのように学ぶか

では、そうでない学び方は、どのようなものがあるでしょうか。

赤ん坊を思い出してください。

彼らは、何をするにしても、正しくやろう、間違ってはいけない、とは思っていません。

言葉を発するときも、最初はよくわからない音を出して、だんだんと意味のある言葉を発するようになってきます。

歩くときも、最初は転んだりしながら、徐々にバランスを取っていきます。

僕は、姪を観察していましたが、体を固めずに自由な状態を保ったまま、様々な動きを学んでいっていました。

(ちなみにだいたい小学校に上がると、余計な体の癖を身につける割合が増えてきます。それは別の機会に書きます)

・理想的な学び方

ここまでをまとめると、演奏技術の理想的な学び方というのは、正確さを優先させるのではなく、体の自由さを優先させて学ぶことです。

そうすることで、不必要に体を固める癖を身につけることなく、技術を修得することができます。

ここでは、失敗を許容する、ということが重要になります。

もちろん、体を固めながら学んだ技術が、役に立たないわけではありません。

体を固める癖というのは、自分自身で身につけたものです。

アレクサンダーテクニークのレッスンでは、そういった癖を意識的に手放す方法を学べます。

また、技術の習得には終わりがありません。

これから新しい技術を身につけようとするときは、今回の内容を意識してみてください。