アレクサンダーテクニーク

あえて正確さを犠牲にして練習してみる


こんにちは、川浪です。

前回の続きです。

今回は、音程を外さないための練習法を、身体の使い方の視点から、考えていきます。

正しい音程で演奏する、という意味では、特に歌や弦楽器、管楽器の方が対象のように感じるかも知れませんが、今回の話は、広い意味で、ねらった音を出せるようになるということです。

音程だけの話ではないので、皆さん、ぜひお読みください。

前回は、まず出したい音と身体の動きを結びつけることが重要という話をしました。

意外に思われるかも知れませんが、僕がレッスンしてきた中で、演奏する音と身体の動きが結びついておらず、単に身体の動きだけになってしまっている人が、けっこういらっしゃるんです。

まずは、出したい音があり、そしてそれに必要な身体の動きをする、という順番なのですが、ここで注意することがあります。

それは「練習の時点では、正確さを犠牲にしていい」ということです。

日本における一般的な音楽教育は「正確に演奏する」ということを重視しすぎているように思います。

(日本における、と書いたのは、海外の事情に詳しくないからです^^:

海外でも同じかもしれませんし、違うかもしれません)

あまり説明する必要もないかと思いますが、楽器のレッスンを受けているとまずは、譜面通り正しい音程、正しいリズムで弾きましょう、と言われるのは当たり前のことですよね。

しかし、これについては、大きな問題があります。

正しく演奏することを優先させると、何が起こるのか。

身体に不必要な緊張を生み出してしまいます。

演奏するということは、身体の使って音を出すということです。

演奏を習得する時点では、慣れない動きにも関わらず、音を外さないように身体をコントロールしようとすると、ほとんどの人が身体を固めてしまいます。

運転に例えると、ブレーキを踏みっぱなしで、運転しているようなものです。

こうすると確かに、不正確な音は出にくいかもしれませんが、身体には大きな負担がかかります。

また、そうした身体の使い方は、繰り返せば繰り返すほど、習慣として身についてしまいます。

最初のうちは、さほど問題にならないかもしれませんが、それを何年も続けているうちに、練習しても伸び悩みを感じ始めたり、、、

場合によっては痛みや故障を引き起こしてしまった、という方が、僕のレッスンに来られるわけです。

もちろん不必要な習慣は後からでも手放すことが出来るのですが。。。

どうせなら、最初から、不必要な緊張を身につけないような練習の仕方をしたほうがいいですよね。

では、どうすればいいかというと、正確さを犠牲にしてもいいので、身体に不必要な緊張がない状態で、反復練習を行う、ということです。

そもそもの原因は、慣れないうちから楽譜で指定されたとおりに弾こうとして、不必要な緊張を以ってして、コントロールしてしまうのでした。

慣れないうちは、テンポ通り弾く必要はありませんし、音程が外れてもいいし、出したい音色が出なくても、全くかまいません。

それよりもなによりも、身体に不必要な緊張がない、心地よい状態であることを優先してください。

そのままだと、いつまでたっても正確に弾けるようにならないのでは?と心配されるかもしれませんが、安心してください。

実際は、そうやって練習したほうが、短期間で技術の習得もできます。

これは僕自身の経験や、レッスンを受講されている方の経験からも明らかです。

しかも、このやり方は、人間の脳の学習プロセスにも合っているようです。

人間の脳が学習する時は「正しいこと」を覚えるのでなく「間違っていること」を覚えて、それを避けるようになるんだそうです。

例えば、子どもが歩き方を覚えるのは、正しい歩き方を覚えるのではなく、何度も転ぶのを繰り返して、だんだんとそれを避けるようにして、歩き方を覚えるそうです。

他にも、音痴の人って、みなさん独特な音の外し方をしますよね。

ある程度、音楽の訓練を積んだら、逆にそういう変に音の外れた歌い方は、逆に難しくなります。

これも、正しい歌い方を覚えているというより、そこから外れた歌い方をしなくなっていると言えます。

ですから、新しいことを身につけようとする時は、正確さを重視して、身体の不必要な緊張とともに身につけるより、正確さを犠牲にしてでも、身体が良い状態であることを優先して練習するほうが、結果的に短期間で身につけることが出来ます。

そうすれば、後になって、その緊張を手放すためにアレクサンダーテクニークのレッスンを受ける、なんていうことをする必要もありません。笑

ぜひ、今回の話を参考に、練習に取り組んでみてください。

ちなみに、長年いろんな楽器の方にレッスンにしているので、各楽器ごとに不必要な緊張が起こりやすいパターンは、僕の中にかなり蓄積されています。

いくつか例を挙げると、管楽器だったらブレスの時、弦楽器だったらポジション移動、とか。

他にもたくさんあります。

それらの対策についても、すでにパターン化していますので、今後まとめて記事にしていきますね。

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