アレクサンダーテクニーク

楽器のレッスンで身体の指示はこうするといい、という提案


こんにちは、川浪です。

今回も、楽器のレッスンで、身体の使い方をどう伝えるべきかシリーズです。

前回の初級編では、「楽器のレッスン」と「身体の使い方のレッスン」は違う科目ですよ、という話をしました。

さらに今回は、中級編です。

・「その演奏を達成するために、身体では何をする必要があるのか、身体の構造に基づいて伝える」

分かりやすくするために、具体例を交えながら説明します。

最近、僕が受けたピアノレッスンでのことです。

先生曰く「もっと楽器を鳴らす必要がある。そのためには腕の重さを使って下さい」ということでした。

先生がお手本として演奏しているを見たら、楽器を鳴らせている状態、鳴らせていない状態の違いは分かりました。

しかし、それを実現するために「腕の重さを使う」という伝え方は、果たして適切でしょうか。

前も書いた話ですが、「腕の重さを使う」と言われたときに、どういう状態をイメージするかは、受け取る人によって変わってくるでしょう。

他にも「重心を下げる」だとか「脱力する」だとか。

よく聞く表現ではありますが、実際のところ何を意味しているのか、はっきり分からない表現が、楽器のレッスンではあふれています。

僕が提案するのは、身体の構造に基づいて指示をする、ということです。

具体的に言うと、身体は、関節のあるところしか動きません。

それぞれの関節が、どの方向に動くとか、どれくらいの範囲で動く、ということは、個人差はありますが、だいたい決まっています。

また、それぞれの関節を、どの筋肉が動かすか、ということも、決まっています。

人間の身体は、その範囲でしか、動くことができません。

演奏をするときも、これを逸脱することはありません。

ですから、演奏における、身体の使い方を指示する場合は「身体のこの部分がこういう動きをする必要がある。そしてそれを実現するためには、この筋肉を動かす必要がある」というように指示するべきだと考えています。

こういう伝え方であれば、具体的な身体の構造に基づいているので、誤解を生む可能性は、かなり低くなります。

そして、この伝え方をするためには、身体に関する知識が必要になってきますね。

例えば、楽器をやっていると「指を鍛える」みたいなことが言われます。

こう言われると、おそらく、多くの方が、指か、せいぜい手首くらいまでにしか、意識を向けないでしょう。

しかし、実際には、指を動かすための筋肉は、前腕部分にもあります。

実際に、前腕を触りながら、指を動かしてみると、そこの筋肉が働いてることが確認できます。

ですから、「指を鍛えよう」と思っても、どの筋肉を使うのか、はっきりと理解していなければ、望んでいる効果は期待できませんし、それどころか本来使うべき筋肉を使っていないわけですから、故障の原因にもなりかねません。

(ちなみに、僕はそもそも「指を鍛える」みたいなことは、レッスンで言いませんが^^;)

というわけで、中級編は、身体の使い方を指示するときは、身体の構造に基づいてお伝えしましょう、ということでした。

では、身体の構造に基づいて、どのような動きをするのか、理解すれば、それが出来るかというと、実はそうではありません。

その理由と、それを回避する方法は、上級編でお伝えしますが、字数が多くなってきたので、続きは次回で。

最近は、週一のペースで更新していますが、このシリーズ、僕はお伝えしたいことがたくさんあるので、しばらく更新頻度を上げていきます。

ぜひお付き合いください。