アレクサンダーテクニーク

演奏での不安が手放せない理由


こんにちは、川浪です。

前回の記事で、「余計な考えが、身体の緊張となる」ということを書きました。

余計な考えとは、

「失敗したらどうしよう」

「上手くいくか心配」

「下手くそと思われないだろうか」

「これで本当に正しいのだろうか」

など、演奏するにあたって、あまり役に立たないようなことです。

一般的なメンタルトレーニングでも、「このような考えは役に立たないので、手放しましょう」と伝えています。

しかし、前回も書いたとおり、手放そうと思って簡単に手放せるなら、誰も苦労しません。

なぜ、余計な考えを手放すのは難しいのでしょうか?

理由は、脳の機能にあります。

人の脳は、肯定的にしか、物事を考えることが出来ません。

よくある例えですが、「レモンのことを絶対考えないで!」と言われると、どうしてもレモンのことが頭に浮かんでしまいます。

脳は肯定的にしか考えることが出来ないので、レモンを考えないためには、まず一度レモンのことを思い浮かべてから、それを必死に打ち消そうとするわけです。

つまり、「不安を手放そう」と思えば思うほど、不安を感じてしまうということです。

では、どうすればレモンのことを考えずに済むかというと、リンゴのことを考えればいいわけです。

別のことを考えている間は、レモンのことを考えずにすみます。

だから、不安が起こった時は、楽しいことを考えよう、とか、上手くいってる場面をイメージしよう、といわれたりします。

しかし、やはりこれも難しいです。

レモンやリンゴならまだしも、失敗→成功と真反対にイメージを書き換えるのは、ハードルが高いです。

では、どうするかというと、考えを手放すのではなく、身体の緊張を手放すことに意識を向けるのです。

そもそも、なぜ余計な考えを手放したいかというと、それが身体の緊張につながって、うまく演奏できないからでした。

不安や怖れが浮かんだ時には、必ず身体のどこかに緊張が生まれています。

まずは、それに気づくこと。

そして、その緊張を手放すことに意識を向けます。

(この方法はまた改めて書きます)

身体の緊張は、考えと違って、目に見えるし、触ることもできるので、手放しやすいです。

余計な考えが体の緊張を生み出していたので、身体の緊張を手放せば、同時に余計な考えも手放すことができるわけです。