体験談

演奏の音量をコントロールするためのinputとoutputについて


こんにちは、川浪です。

音楽家のためのアレクサンダーテクニーク入門セミナーを開催しました。

今回のセミナーでは、そもそもアレクサンダーテクニークのレッスンでは何をするのか、から始め、それをどう役立てるのか、実際に演奏していただきながら、体験していただきました。

今回は、歌やギター、ヴァイオリンなどの方に参加いただきました。

いただいた感想の一部を紹介します。

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歌を唄う時の胸のあたりの頑張りが減って、歌い易くなりました。

唄い易くなった分、周りが良く見わたせました。

唄う前に周りの状況を含めると(input)自然と唄うボリューム(output)が調整されるのが面白かったです。

目時重考さん

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今回のセミナー、レッスンでも、なぜか不思議に自分の演奏が変化をする体験がありました。

今日の体験をまた大切に日々の気づきを大切にしてゆきたいです。

土屋慶さん

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以上、ご感想ありがとうございました!

さて今回は、感想の中にあった input と output について、少し説明したいと思います。

すこし思い返してほしいのですが、日常において、やたらと声が大きい人っていませんか?

一対一で話しているのに、そんなに大きな声を出す必要はないんじゃないか。

あるいは、周りが迷惑していることにも気づかず、自分たちだけで盛り上がっているような集団。

そういう人たちを、一般的に「周りが見えていない」と表現します。

文字通り、彼らは周りが見えていません。

どういうことかというと、周囲の状況を認識できていないのです。

話している相手との距離、部屋の広さや、周囲にいる人の状況などを、正確に認識していれば、声の大きさも、適切な音量に調整されているはずです。

さて、これは話し声に限ったことではありません。

実は演奏時にも、同じようなことが起こっています。

例えば、一人で練習している時は気持ちよく演奏できていても、人と合わせるとなると、音が大きすぎるといわれたことはありませんか。

あるいは、人前で演奏していると、周りからは音が小さいといわれたり。

もしそういった経験があるなら、その時のことを思い返してみてください。

もしかしたら、自分の演奏にばかり意識が集中していて、周りの奏者や、お客さんには意識が向いていなかったかもしれません。

演奏する時の音量については、これくらいが適切、とは、なかなか断定できません。

例えば、〜平米の会場で、〜人で演奏する時に、〜人のお客さんがいたら、〜デシベルで演奏しましょう、なんて考えても無意味ですよね。笑

ドラムの教則本では、「ピアニッシモはスティックの角度を5°で、フォルテッシモは90°」なんて説明している本もありますが、これも無意味です。

スティックを振るスピードで音量は変わりますし、スティックの太さを変えただけでも、変わってしまいます。

個別の状況はそれぞれ異なるので、定量的に音量をコントロールしようというのは、現実的に不可能です。

だから、周りの状況を正しく input しましょう、そうすれば適切な output になりますよ、という説明をしています。

もちろん、これだけですべてうまくいくわけではありません。

音量がうまく調整されるためには、自分自身の身体の使い方が上手くいっている必要があります。

それから、合奏であれば、それぞれの奏者同士で、音楽の全体像が共有されている必要もあります。

といったように、他にも色々な条件はありますが、もし音量のコントロールでお悩みであれば、ぜひ一度、演奏する時の周りの状況にも意識を向けるということを試してみてください。

きっと、何らかの気付きを得られると思います。