アレクサンダーテクニーク

身体を固めずに演奏するために大切なこと


こんにちは、川浪です。

ピアノの方にレッスンしていて、こんな悩みをお聞きしました。

「左右の移動がはげしい曲を弾く時に、力が入り、脇を締めてしまい、うまく弾けないので、脇を開くようにしている」

これには、考えることがたくさんあるので、丁寧に解説していきます。

まず、身体を固める、というのは、動作の初期に起こりやすいです。

例えば、「せ~の!」という掛け声をかけると、グッと力が入りませんか?

あるいは「よ~い、どん!」でも同じです。

「よ~い」といってる時点で、グッと力が入りますよね。

これと同じことが、演奏のときにも起こっています。

今回のピアノの方の場合は「左右の動きをしよう」と思った時点で、脇をしめる、つまり上腕を体の中心に引き寄せる筋肉を収縮させる、ということが起こっています。

両手を左右に動かすのに、脇を締めていては、動きにくい。

だから、脇を広げよう。

と考えたわけですが、これも問題です。

すでに脇を締める筋肉が収縮しているにも関わらず、それと逆の動きをしようとすると、簡単に言えば筋肉の引っ張り合いになってしまいます。

これでは、動きやすくなるどころか、余計、身体に負荷がかかってしまいます。

場合によっては、ケガや痛み、故障の原因にもなるでしょう。

ことの発端は、動作の初期に身体を固めやすい、ということです。

これは、ピアノに限らず、他の楽器でも同じですし、あらゆる動作で、そのような傾向があります。

それに気づかず、反復練習を繰り返せば、練習すればするほど、その癖が強化されていきます。

ですから、身体を固めずに演奏するためには、まず、自分がどのタイミングで身体を固めているのかを、はっきりと自覚することが重要です。

言うのは簡単ですが、実際にやるのはなかなか難しいです。

レッスンをしていても「言われるまで、自分にそんな癖があることに気付きませんでした」という方がほとんどです。

ですので、まず自分の癖に気づく必要があるという認識を持った上で、根気よく取り組むことが重要です。

自分の身体を固める癖に気づいたら、その次は、それをせずに演奏をする、というステップです。

これも、なかなか難しいですね。

なぜなら、それは、いままでやったことのない、新しい体験だからです。

これまでの経験の枠組みで考えている限りは、新しい体験がうまれることはありません。

僕のレッスンでお伝えしている、身体の使い方を学ぶ、ということは、自分の身体の意識的にコントロールできる領域を増やしていく、という活動です。

新しい領域は、自分の意識の外にしかないのです。

僕は、冗談抜きで、24時間、それについて考えていますし、そうすれば、身体の使い方は、日々向上していきます。

まぁ、そこまでしなくても、レッスンに来ていただければ、あなたの癖、及び、あなたの望む演奏をするために必要な身体の使い方を、お伝えすることができます。

身体の使い方を学ぶ、というのは、このエクササイズをやっておけばOK、というお手軽なものではありません。

もちろん、そうした方が受けがいいのは、百も承知です。

ですが、そこに、あなたの求める答えはありません。

お手軽だけど結果のでないものを提供するのではなく、地道でもやれば確実に成果の出るものを提供するというのが、僕の信念です。

それに共感いただける方に、レッスンを受講いただければと思っています。

追伸

とはいえ、ほとんどの方が初回レッスンで、効果を実感されます。

そんなにハードルの高いものではないので、ご安心ください。笑